世界でいちばん 不本意な「好き」



バイトが終わって学校へ戻るとなぜかふみとが正門前に立っていた。


「なにしてるの?」

「や、たまたま」


ダッサい私服に帽子をかぶっている。どこかに行くのか、帰ってきたところなのか。


「そ。用事?」

「ない、けど」

「ふうん。じゃあ一緒に戻ろ」


どうやらどこか行った帰りらしい。

再び歩き出すとすぐ横に並ぶ。背、高いなあ。


「今日はどこのバイトだったの?」

「パン工場」

「だからか。なんかアリス、甘いにおいする」


嗅ぐなよ。はずかしいな…。


「あ、ふみと、ごはん食べた?」


聞きながらかばんから、もらったあんぱんをひとつ取り出す。

首を横に振っているからそれを渡した。


「3つもらったからあげる」

「え、いいの?」

「あんぱん3つはさすがに飽きそうだから」


なんて。おいしいから飽きないんだけど、しかたないからわけてあげる。だって本当においしいんだもん。


「アリスの夕飯これだけなの?」

「家にサラダとスープある」

「そこで座って一緒にこれ食べよ」


ちょうどベンチがある。放課後は校庭でやる部活動が見られる場所。

高2のころサッカー部の男の子と付き合っていたことがあってよくここに座ってた。


「いいけど」


だってすでに座ってるんだもん。断りにくいでしょ。