世界でいちばん 不本意な「好き」



どこまでも考えかたがちがう。
すげーのはどっちだよ。

そんなふうに思うのは、自分の考えを、どこかで否定しているのと同じだ。


居心地が悪い。


「アリス、今日もバイト?」

「そうだけど迎えはいいからね」


自意識過剰かもしれないけど言われる前に拒んでおく。だってこんな気持ちのまま一緒にいたくない。


それでもすかさず「でも、」と言ってくるから、もう荷物をまとめてホームルームはサボっちゃおうと決め込んで机のなかの教科書を取り出していると「月湖」と名前を呼ばれた。

声のほうを見ると、すでに他クラスのなかにずかずか入ってくる寧音の姿が見えて逃げたいような気持ちになる。



「ねえ月湖」


もう一度呼んでくる。

その名前で呼ばないでって、いつも言ってるのに聞いてくれない。


「そこあっこの席、」

「今日垰さん早退なんでしょ。ピカロのイベントに行っててずる休みだって甲斐が嘆いてた」

「だからって…寧音、よくこのクラス来れるね」


みんな見てる。そりゃそうだ。ショーマのことで仲が悪いと思われている。

実際にはショーマのことなんて原因でもなんでもないけれど。


「私は月湖とちがって周りの言葉とか視線とかどーでもいいから」


わたしのまわり、そういうひとばっかりいるな。

わかり合える気はしない。寧音は幼いころからそうだ。