世界でいちばん 不本意な「好き」





「あっこも紗依もこのまえアリスがしてたかわいー髪型だ。どっか行くの?」


かわいー髪型って覚えかたははずかしくなるからやめてほしい。


ふたりの髪をフィッシュボーンにしているとふみとがお弁当を食べながら聞いてきた。

ピカロのイベントにはお昼を食べずに支度をしたら向かうらしい。だからわたしもお弁当はあとでにして支度を手伝っている。


「史都知らないの?今日はピカロのイベントなんだよ」

「…あ!ハイタッチ?」

「そう!そうそうそう!楽しみ!」

「ピカロって人気になっても有名になってもハイタッチとかサイン会とかやってくれてうれしいんだよ」


ふたりはとっても上機嫌。ふみとも自分がイベントに出てるみたいにうれしそう。


「へー気合入ってんのな」


ショーマは他人事。わたしの気持ちに近いと思う。


「俺たちもそういうイベントは好きなんだ。コンサート会場じゃどうしても距離があるからね」

「ハイタッチでは温度を、コンサートでは歌と踊りを、テレビでは仕事への熱を…ファンは感じているのです」

「はは、ありがとう。ファンの子ってそうやっておしゃれして来てくれてるんだな」

「そうなんですー。ピカロは大好きな人たちだもん」



あ、その気持ちはわかるかも。わたしも彼氏と会うときはめいっぱい可愛くなろうと思うもん。

ふたりにとってはその相手が彼氏じゃなくてアイドルなんだなあ。


「それにしてもアリスは器用だよね~。うち、こういうのできないもん」

「本当だよね。私の髪なんてそんな長くないのに」

「ふたりの髪が編みやすいだけだよ。それにしても…おそろいかわいい!双子みたい!」


こういうかわいい髪型や服装って女の子の味方だよなあって思う。