……ノアさんがいる。 午前中の雨が嘘のように晴れ、虹が出ている。その日陰に収まるようにして、身体が横たわっていた。 肌寒い季節だ。 自分の為に持ってきた膝掛けをかけてやる。背中が広く、全てを覆うことは出来ないけれど。 異動してきた初日からここで眠っていた。 仮眠室がありますよと最初は教えたけれど、「あそこでは眠れない」という返答。 だからって、雨上がりの湿った冷たいコンクリートの上で眠らなくても。 眠れる獅子、みたいだ。 眠っている顔すら怖いと思うのは、私に勇気がないからなのか。