貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~



 ジンが出て行ったあと、た……助かった、と思いながら、アローナは寝台の上にへたり込んだ。

 だが、此処を出て行って、ジン様は何処で眠るんだろう、まあ、部屋はたくさんあるだろうけど、と思いながら、ちょっと気になり、出て行こうとしたら、扉を開けたところに、フェルナンが立っていた。

「あの、ジン様は何処ですか?」
と問うて、

「アローナ様に追い出された王は、ひとり寂しく何処かでお休みなんじゃないですかね」
と嫌味まじりに言われてしまう。

「王のなにが気に入らないのですか、アローナ様。
 若く美しく、性格もまあまあ良い」

 まあまあなんですか? と思うアローナにフェルナンは、
「どうぞ、遠慮なく王に抱かれてください」
と言ってくる。

「遠慮ではないです」

「……あんまりごちゃごちゃ言ってると、またよそに人質に出されるかもしれませんよ。
 今度はもっとすごいヒヒジジイかもしれないですよ」
と脅され、ひっ、とアローナは息を呑む。