貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 なんだかんだであの二人は仲良しだ。

 侍女たちが頭を下げて出て行った。

 やがて、訪れなくてもいいのに、ジンが部屋を訪れる。

「……元気か、アローナ」

 そうジンは訊いてきた。

 いや、さっき別れたばかりですけどね。

 もしや、

「さっき別れたばかりだが、お前が恋しくて、つい、そんな風に訊いてしまった」

 などと歯の浮くようなセリフを言うおつもりですかっ、と思って見つめてみたが、ジンはなにも言わない。

 ちょっと困ったような顔で、アローナを眺めている。

 まあ、さっきまで貢ぎ物の女だと思っていた娘が、あれよあれよと言う間に妃となったわけだから。

 落ち着いて考えてみたら、なんだかんだで複雑なのかな。

 私もですよ、ジン様、と心の中で思ったとき、ジンが側に腰掛けてきた。

 逃げかけるアローナの腕をつかんで言う。

「なんだかんだで、結局、私たちはこうなる運命だったのだ。
 諦めろ」