貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 風のようにふらりと立ち寄っただけの人に、簡単にひょいとやられてしまいましたよ……と思うアローナに、

「よし。
 これでお前は、今夜から俺の花嫁だな」
とジンが言う。

「別にお前をどうしても花嫁にしたかったわけではないのだが。
 他を見つけてくるのも面倒くさいしな」
となにやら言い訳がましいことを付け足しながら。

 ……なんでしょう、一日でこの激変。

 オアシスに着いて、

 わあ、水があるーと言った瞬間に連れ去られ、

 娼館に売られ、

 声の出なくなる薬を飲まされ、

 アハト様に買われて、貢ぎ物として此処に来て。

 気がついたら、ジン様の花嫁になっていました。