貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「可哀想じゃないですか……」
とアローナは言ったが、兄の肩にのっている鷹は、またよい餌でももらったのか、機嫌はいいようだった。

「ところで、王よ。
 前王に差し出したアローナをそのまま嫁に欲しいそうだが」
と言うバルトの言葉に、

「は、はい」
とさすがのジンもかしこまったが、

「ああ、やるやる」
とバルトは軽くジンに言う。

「あんなヒヒじじいに……。
 失礼、お前の父親だったな」
と軽く、ほんとうに軽く()びたあとで、

「歳の離れたエロ大魔王なヒヒじじいに可愛い妹をやることにならなくてよかった」
と本音をもらす。

 ……滅多に会わない妹ですけどね、と思いながらも、ちょっと嬉しかった。

「いやあ、ふたり並ぶと美しい絵のようではないか」

 よかったよかった、と言いながら、バルトは側にいたエンの肩をさりげなく抱いて、殴られている。

 二人は幼なじみなのだ。

「ちょうど国に帰るところだ。
 父には私から言っておこう。

 王よ、アローナをよろしく頼む」

 また遊びに来るぞ、と言って、兄はさっさと帰っていった。

 歓迎の宴の準備をしようとしていた城の者たちに、ええっ!? という顔をされながら。