「お兄様っ」
玄関ホールに向かったアローナはアッサンドラからの一行を出迎えた。
「おお、アローナではないか。
久しぶりだな。
美しくなって」
と細身だが、筋骨隆々としたアローナの兄、バルトはアローナに微笑みかける。
褐色で引き締まった肌をしているが、それは日焼けによるもので、実はアローナと同じくらいの色白だ。
肩にはあの鷹がのっている。
「アッサンドラからだと遠いですよね」
とフェルナンがバルトに微笑みかけながら言ったが。
いや、兄と久しぶりな理由は、それではない。
「いえいえ。
そもそも、お兄様は常に放浪の旅に出ていらっしゃるので、私はあまりお会いしたことがないのです」
「だが、たまには城に立ち寄るし、だいたいの事情も知っておるぞ。
で、たまたま、この近くを通っていたら、うちの鷹が飛んでたから、石をつけた縄を投げて、ひっかけて捕らえたのだ」
それで勝手に書簡を読んだらしい。



