「お困りですね、アローナ様」 いきなり声がして、ビクッとアローナは振り向く。 南国の艶やかな花で飾られた白い湯船の近くにシャナが立っていた。 エンと入れ違いに、中に入ってきたらしい。 「なにか力をお貸ししましょうか?」 「ああ、シャナ。 どうしたらいいのかしら? 王様が来られたみたいなんだけど」 「殺(や)りましょうか?」 はい? 「殺りましょうか?」 とアローナを見下ろし、シャナは繰り返す。 いや、何故……。