貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「アローナはメディフィスの王の許に嫁いだのだろう。
 このまま此処にいればいいではないか」

「前王に嫁いだのです。
 条件が変わりました。

 今、待っている間に、新しい王様は人格者で理不尽なことはなさらないと伺いました。

 非道な王でないのなら、攻め入られないよう、姫を人質花嫁として差し出さなくてもいいわけですし」

「で、では、私は非道な王となり、姫にも理不尽なことをしよう」
と思わず、アローナの腕をつかんだまま言って、アローナに、ええっ!? という顔をされてしまった。

「ほら、姫様も嫌がっておりますので、連れて帰りますね」
と本当に帰ろうとするので、思わず、

「待てっ」
とまたジンは叫んでいた。

「何故ですか」
と侍女に問われ、うっ、とつまる。

 何故と問われると困るな、と思いながらも、ジンは言った。

「……メ、メディフィスとアッサンドラの友好のために、この結婚は進めるべきだ」