塔の端に追い詰められたアローナはチラと下を見た。

 ひーっ、高いっ。

 別に怖くはないけど、落ちたら、まず死ぬだろう。

 あ、あの辺りに引っ掛かったら大丈夫かな。

 いやいや。
 そっちの木の上に落ちるように飛距離が出そうな感じに落ちるとか。

 いや、どうやってっ、とアローナが下を窺ったとき、ジンが叫んだ。

「飛び降りて逃げる気かっ」

 いや、此処、飛び降りたら死にますよっ。
 刺客でも死にますよっ。

 貴方、刺客をどれだけ万能だと思ってるんですかっ。

 彼らも無敵ではないんですよっ。

 シャナなんて、貴方を殺す理由が欲しいと私に頼んできたくらい、なにかに縛られてますよっ、
と思ったとき、それはやってきた。