アローナがいきなり身を乗り出したので、ジンが押されて、塔から落ちかけたのだ。

 女性は高いところが苦手と思っているらしいジンは、アローナが前へ出るとは思っていなかったらしく、ギリギリのところまで出ていたようだった。

 なんとか踏みとどまったジンが振り返り、叫ぶ。

「今、私を突き落とそうとしただろうっ。
 お前、やはり刺客だなっ?」

 ひーっ。
 たまたまなんですけどーっ!?

 アローナはグッとジンに肩をつかまれた。

「……お前の正体はなんだ。
 私を惑わそうとする娼婦か。

 それとも、刺客か」

 そう言いながら、ジンが詰め寄る。