久しぶりに人と会話できて、ちょっと嬉しかったけど。

 シャナは今も何処からか、ジン様を狙っているのだろうか。

 いや、ジン様を狙いたいな、と思いながら、何処からか見ているのだろうか。

 そんなことを思いながらアローナが周囲を窺ったとき、
「風が強いぞ、気をつけろ」
と言って、ジンがアローナの手を取ってくれた。

 アローナはジンに案内され、高い塔の上に出ていた。

 西の方の国にあるような石造りの高い塔だ。

 城門の遥か向こうまで見える。

 荒涼とした土地の向こうに、また町があったり、砂漠があったりする。

 自分の旅に付き添ってくれていた面々の姿を探すように、アローナは砂漠の方を眺めた。

 ん? なにか黒いものが来る、とアローナが目を細め、砂漠の上空を見たとき、

 わあああああっと近くで声がした。