貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~




「あなたがホンモノの刺客なんですか?」
と口をぱくぱくさせてアローナは訊いた。

 その美女は唇の動きが読めるらしく、
「……すると、ニセモノは何処に」
と言ってきた。

「いえいえ。
 私、今、刺客ではないかと疑われてまして」
とアローナが説明すると、

「そうですか。
 でも、アローナ様は前王の妃となるはずだった方、ジン様にとっては母も同然でしょう。
 そんなことを疑うのは無礼ではないですかね?」
と美女は言う。

 いや、ジン様の母とか言われる方が刺客だというより、抵抗があるのですが……。

 っていうか、私がアローナだとジン様たちは知りませんしね、と思っていると、
「そんな王などいらないと思いませんか?」
と彼女は言ってきた。

「そうだ。
 ジン様を殺してみましょう」

「え、私がですか?」