貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「私は本来、此処にいて、いないもの。
 ジン様たちに接触することは控えたいですし。

 ましてや、貴女のことを知っていることなど、バラしたくはないのです」

 此処にいて、いないもの……?

 口をパクパクさせながらアローナがそう問うと、

「しゃべれなくなる薬を飲まされましたね。
 売り飛ばすのに都合がいいからでしょうね」
と言ったあとで、淡々と彼女は言ってきた。

「アローナ様、私は刺客です」

 えっ? ホンモノの?