貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 っていうか、誰っ? とアローナが見上げると、彼女は不思議そうに言う。

「どうして此処に。
 砂漠で消えたのではなかったのですか。

 もしや、娼館から来た娘というのは貴女ですか。
 それは波乱の一日でしたね~」
としみじみと言ってくる。

 アローナは彼女の腕をつかみ、

 なんで知ってるのかわからないけどっ。

 私がアローナだとジン様たちに言ってーっと目で訴えてみた。

 ジンには視線や雰囲気ではなにも伝わらなかったが、彼女には伝わったようだったが。

 が、
「言いませんよ」
と言われてしまう。