貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~




 日が落ちてきたので、外回廊にはもう蝋燭の明かりが灯っていた。

 夕暮れの光がまぶしく、目をしばたたいて庭を眺めていると、あの騎士が向こうからやってきた。

「フェルナン」
とジンが呼びかける。

 そんな名前だったのか、と緩くウェーブのついた金髪を夕陽に透かせたフェルナンを見る。

「ちょっと庭でも見ていろ」
とジンはアローナに言った。

 高い木々のそびえる、手入れされた庭園を散策していたアローナは、向こうから来る美しい女性に気がついた。

 フードつきのマントを羽織っているので、どのような格好をしているのかよくわからないが。

 かなりの長身で、銀糸のように細く美しい、ストレートの長い髪をしているようだった。

 中性的だが、すごい美人だ。

「おや、アローナ姫ではないですか」
とその長身の美女はアローナを見て言った。

 ……え?