貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 ……言葉にならない分、必死に雰囲気というか、気配というか。
 いろいろと発しているつもりなのだが、なんにも感じとってもらえない。

 言葉がしゃべれたとしても、あんまり意思の疎通はできない相手な気がする……。

 いや、お父様もそんなところがあるし、殿方全般がそうなのか。

 男と女とでは根本的に脳の構造が違うのかもしれない。

 そういえば、従兄弟のちょっと女っぽいジュリアンが一番話が通じる気がするしな。

 男らしい男とは一生分かり合えない気がする……と思ったとき、よし、とジンが立ち上がった。

「一緒に塔に上がってみるか?
 かなり遠くまで見渡せるぞ。

 そろそろアローナ姫の従者一行がこちらに近づいている頃かもしれん。
 ついでに、お前に街を見せてやろう」

 そう言い、ほら、と手を差し出してくる。

 大きく頼り甲斐のありそうな手を差し出され、アローナはちょっと赤くなる。