「口がきけない状態で送り込んできた奴らは正しいよ。
今にも余計なこと言いそうだ」
と毒づいたあとで、気づいたように、
「なんで、そいつらまで引き連れて来てんだい」
と後ろを見て言う。
自分を売った盗賊も旅のお供に連れてきていたからだろう。
「……銀の間に行きな。
その格好でいい。
もうちょいと露出が多い方がいいが」
とアリアナは言う。
「ありがとうございます。
あの、他の手伝いの人たちも入ってもいいですか?」
とアローナが言うと、他の手伝いって? とアリアナが見る。
遅れてついた馬車から、ゾロゾロと美女たちが現れた。
艶やかな黒髪の美女。
金髪の美女。
銀髪の美女。
明らかにカツラな感じの金髪のガッシリした中年の美女。
みんなデカイ。
「……これ以外は合格だ」
とアリアナはガッシリとした中年の美女の腕をつかむ。
「なんとっ。
嫌々この格好をしたのに、拒絶されるとはっ」
とその美女が叫び出す。
「あんたはいろいろうちにツケがあるだろ。
なにか別のことを手伝いな」
とアハトが扮した美女は連れ去られていった。
「……ツケって、馬車いっぱいの金をとっておいて、まだ払わせるおつもりなのですね」
「盗賊よりあこぎな商売だな」
と女装しなかったステファンが言っていた。
みんなで娼館の中に入り、アリアナが教えてくれた目的の場所を探して歩く。
「そういえば、銀の間って、何処でしたっけね」
と呟くアローナは、そういえば、前回、銀の間の場所がわからないのならいいと言われて、結局、たどり着けなかったことを思い出していた。



