貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 
 アローナたちが娼館に到着すると、エメリアではなく、アリアナが出迎えてくれた。

 娼館の前で待ち構えていたのだ。

 珍しいこともあるものだ、とアローナが思っていると、
「来たのかい」
とアリアナは渋い顔をして言ってくる。

「お前たちを呼んだのは私じゃないし。
 私はなにも知らなかった。

 それを念頭に置いておいてくれるのなら、まあ、この店を手伝ってもいいが」

 店を手伝えというのに、アリアナはそんな尊大なことを言ってくる。

 だが、アローナは微笑み、
「ありがとうございます」
とアリアナに礼を言うと、丁寧にお辞儀をした。

 フン、と鼻を鳴らし、自分より大きなアローナを見上げていたアリアナだったが。

「相変わらず、賢い娘だね」
と言う。