貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「このように夫を見送る妻になりたいというのだな」

 そんな絵だったのか……とアローナは改めて本を見てみたが、この国の文字が読めないので、話の内容はわからなかった。

「確かにお前は王女と見まごうばかりの立ち居振る舞いと容姿だが」

 見まがってません。
 リアル、そうなんですけど。

「さすがに娼婦を妃にすることはできないな」

 だから、娼婦じゃないです~っと思ったとき、ジンが寝台に腰掛け、呟いた。

「妃か。
 アローナ姫が無事に此処に到着するのなら、私の妃にしてもいいかと思ったのだが、何処にいるのやら」

 だから、此処~っ!

 そこで振り返ったジンは、声も出せずに騒ぐアローナを見て、
「なんだ……妬いているのか?」
と笑う。

 違いますーっ。

 もう話、全然、通じてないんですけどーっ。