貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 

 そのとき、鷹が飛んできて、アローナの頭に舞い降りた。

「……鷹。
 もっと他の場所に」
と頭を爪でガシッとやられながら、アローナは言ったが、ジンは違うことが気になるようで、

「その鷹、名前はないのか」
と呟いている。

 鷹の足には文書がつけてあった。

 おや?
 ずいぶんと美しい装飾の紙だ。

 アローナはその薄緑色で、光る繊維が織り込んである紙を広げてみた。

「鷹よ。
 何処に居たのだ」
という呑気な兄の声を聞きながら。

「……あれっ? エメリア様」

 その手紙はエメリアからのものだった。

 美しい紙だと思ったら、娼館から上客に手紙を出すとき使われる紙のようだった。

 請求書じゃないだろうな。

 ……アハト様への。

 っていうか、鷹、娼館で捕らえられて使われてたのか。