「でも、花嫁の身代わりなんて、せいぜい数日のことでしょう?
他にも放っている王子の密偵に任せておいてもいいではないですか。
離宮の衛兵の人とか。
侍女の……」
いろいろとバラそうとするシャナにジンが慌てる。
ジンはなにも言っていないのに、シャナには彼らがジンの手の者だとわかったようだ。
切れ者なんだかなんだかわからない人だな、と思いながら、アローナはシャナを見ていた。
「ま、どちらかと言えば、エン様を探してこいと命じられる方が楽なんですけどね」
「いや、だから、ひとつくらい仕事を完結させてから、次にかかれ」
とジンはシャナを叱っていたが、解雇する気は特にないようだった。
なんだかんだで便利だからだろう。
いや、すぐに応じてくれるだけで、望み通り動いてくれたことは一度もないのだが……。



