城の中に入ったアローナは、みなに出迎えられながら思っていた。 結局、なにをしにいったんだったかな……と。 島に流れ着いて、家を建てた記憶しかないんだが。 ああ、あと、娼館で働かされてお小遣いをもらったか。 そもそも、そんなことをしに出かけたんだったろうか、と思ったとき、アハトと目が合った。 先に戻っていたようだ。 めっ、という感じにあの眼力で叱って来たが、アローナは苦笑いで誤魔化し、ジンの陰、アハトの死角に入るようにして部屋へと引き上げた。