貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「まあ、また知らせが入るでしょう。
 こちらからも砂漠に向けて、一小隊送りましたから。

 姫捜索のために」

 申し訳ない、とアローナは騎士を拝む。

 騎士はそれには気づかず、
「心配ですね。
 姫になにかあれば、アッサンドラの王が怒って戦を仕掛けてくるかもしれませんし」
と呟いていた。

 いや~、娘の輿入れ中に、婿が王の座を追われたことにもまだ気づいていない父親なんで、そんなに反応速くないと思いますよ、とアローナはのんびりした父を思う。

 騎士は去る前、
「まあ、その娘には充分気をつけられた方がいいですよ。
 アハト様が送り込んできたのです。

 可愛い顔して、なにを企んでるか、わかったものではないですからね」
と冷ややかにこちらを見て言ってきた。

 いや……、

 とりあえず、あなた方に、私の名前を伝えたいなーと思ってますかね……。