よく考えたら、なんで私、働かされてるんだろう……と思わないこともなかったが。

 ちなみに、
「一応、あんた、王妃になるんだろうから、顔出ししてちゃまずいわよね。
 うちには式に招待されそうなお偉いさんも来るから」
とエメリアが気を利かせてくれ、顔は薄いベールで覆われていた。

「そっちは銀の間ね」
と美しい瑠璃色の酒器を指差し、エメリアが言う。

「銀の間、何処ですか?」
とアローナは訊いたが、

「ああ、わかんないんならいいわ。
 違うの運んで。
 説明するのがめんどくさいから」
とエメリアに言われた。