貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「怪しい娼館の娘ですよ。
 どのような手練手管(てれんてくだ)で男をたらし込み、殺そうとするかわからないじゃないですか。

 っていうか、貴方、既に、たらし込まれてますよねえっ?」

「誰がだ、無礼なっ。
 私は、この程度の娘に、たらし込まれたりなどしておらんぞっ」

 今、おもいっきり(さげす)まれたような……、
とアローナが思っている間に、ジンは話をそらすように騎士に問う。

「ところで、アローナ姫はどのような状況で消えたのだ」

「それが詳しいことはわからないのです。
 姫がいた一行はまだ砂漠を横断している途中のようで。

 伝令用の鷹が、姫が消えたことを伝えに飛んできただけなのです」

 それを思えば、盗賊たちって速いよな。
 あっという間に、メディフィスについてたもんな。

 最初から盗賊たちに頼んで此処まで運んでもらっていたら……

 ……いたら、残忍な前王の時代に着いて、後宮の女のひとりにされてたな。