アローナは盗賊たちと待っていたが、なかなかアハトたちの船はやってこなかった。
何故、アハト様の船の方が遅いんだ……。
立派な船なのに。
っていうか、ほんとうに使えるな、盗賊、とアローナは思っていた。
「なかなか来ぬのう、アハトたちは。
まあ、奴らを待っていたら、お前を連れ帰ることが私の手柄にならぬから、置いて帰ろうか」
とレオが言い出す。
いや、手柄を求める方の立場なんですか? あなた。
元王様なのに。
与える方では、と思ったのだが、レオはアローナの兄に酒を貰いたいがために、兄に評価して欲しいらしい。
「しかし、レオ様。
この小舟ではこれ以上の人数、乗れませんが」
とアローナが言うと、レオは、
「なに、大丈夫だ」
と言う。
盗賊たちがビクついた。
自分たちのうちの何人かが此処に置いていかれると思ったのだろう。
まあ、致し方あるまい。
あとで褒美が貰えるかもしれないし、という顔を盗賊たちはしていたが、レオは椰子の木の後ろにある岩山を振り向き、
「遠回りになるが、この裏に町があるから。
仕方ない、歩いて戻ろう」
と言い出した。
「此処、島じゃなかったんですか……」
「半島だ」



