貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~


 少し遅れて、盗賊たちが乗った小舟がやってきた。

「アローナ!」

「あ、やっぱり(かしら)、近くに居たんですね」

 そんな遠くからインコが来れるわけがないと思った。

「さすが、使える人ですね、頭っ!」
とアローナは機嫌良く頭に言う。

 すると、横からレオが、

「ということは、来ないジンは使えないということか」
と言ってきた。

「なんでそんな余計な言葉を付け足すんです……。
 っていうか、噂をするとジン様が来ちゃいますよ」

「来ちゃいけないのか」

「だって、使えない人が増えるだけじゃないですか」

「増えるって。
 ジン以外の使えない奴は誰だ」

「……誰なんでしょうね」
と呟くアローナの横で頭が、

「誰なんだ、アローナ。
 この愉快なオッサンは」
と言っていた。