「なんということだ。
ジン様にご報告しなければ……」
また怒られる、という顔でアハトは呟いた。
「ところで、お前は何故、この船に乗っておるのだ」
とアハトはいつの間にか船に乗り移っていたシャナを見る。
えっ? と肩に鷹をのせたシャナが振り向いた。
「いや~、なんかすごい勢いで行ってしまったので。
付いて行きそびれまして。
あと、王に言い訳をしないと行けないかと思って、この船に」
「……言い訳するより、アローナ様についいて行った方がよかったのではないか?」
そうかもですね~とちゃっかり金貨の入った袋を手にシャナは言う。
「やあ、向こうの空の色が悪いですよ。
嵐ですかね~」
とアローナとレオを乗せた船が消えた方角をシャナは見た。
少なくとも、その肩の鷹はアローナ様に預けた方がよかったのでは、と思っていたが。
もうなんだか言うのも面倒くさく、アハトはただ溜息だけをついた。



