「アローナ、お前を送り届けてやろう
さあ、感謝して酒をよこせ」
船の性能の違いなのか、ものすごい勢いでアハトたちの船から遠ざかっていくレオの船の中で、アローナに向かい、レオは言った。
「いやあの……今まさに送られて帰るところだったんですけどね」
などと言っているうちに、盗賊たちが言った通り、アローナのなにかが海の神の怒りに触れるのか、一天にわかに掻き曇り、嵐になって、船は難破した。
「……なんということだっ。
離宮に戻れぬではないかっ。
たくさんの美女が私を待っているというのにっ」
……重臣たちはいいんですか。
「これは一体、何処からがお前の罠だったのだ、アローナッ。
酒を贈ってきたとこからかっ」
人気のない浜辺でひとり叫ぶレオを背に、
「いや、何処からも罠じゃないですよね~……」
と呟きながら、アローナは浜辺でなにか使えそうなものを探していた。



