貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~




 王家の船に乗るのは気が引ける、という盗賊団には小舟を一隻置いておき、アローナはシャナとともに、大型船へと向かおうとしていた。

 近づく大型船の甲板にアハトの姿が見えてきた。

 ジンは自ら迎えに来たいと言ったようだったが。
 王が(いくさ)でもないのに勝手に国を離れるのは、という話になり、アハトが迎えに来らされたようだった。

 あ~、ちょっと戻りたくなくなってきましたよ。

 そもそも私、アハト様のお小言から逃げて、此処まで来ちゃったんですからね、とアローナが苦笑いしたとき、目のいいアハトが気づいたようにジロリと睨んだ。

 うっ、とアローナが身構えたとき、横に居たシャナが、えっ? という顔をした。

 アローナもすぐに気づいた。

 アハトの後ろに物凄い勢いでやってきている大型船がいたのだ。

 近づくその大型船には美しい男が立っていた。

 海の日差しに(きら)めく金の髪。

 その髪を潮風に(ひるがえ)す彼は大きな布袋を振っていた。

 レオだ。

 金貨の入った袋をシャナに振って見せているようだった。

 シャナが小舟を漕いでいる者たちに、向きを変えよと指示をする。

 ええっ!? とアローナは驚き、アハトも、ええっ!? と後ろの船を振り返っていた。