貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 年齢がジン様より上のようだから、王子であった頃のジン様のお目付役だったのかもしれないな、
とアローナが思ったとき、ジンは事を急ぐ騎士を止めるように、

「いや、待て」
と言った。

「殺さぬ方がよいだろう。

 この娘が刺客なら、アハトの弱みになるからな。
 私に刺客を送った証拠となるだろう」

「まあ、それもそうですね。
 では、殺さず、お預かりしておきましょう」

 沈黙が流れた。

「……なんでだ。
 まあ、置いておけ」

「……なんでですか。
 殺されますよ?」

 忠誠心厚い騎士はアローナを刺客と決めつけ、ジンを説得しようとする。