貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~



 盗賊は特に恐ろしい思いはしていなかった。

 むしろ、アローナに感謝していた。

 アローナのおかげで簡易の宿が作れたし。
 アローナが見つけてきた、ふかふかした毛の大きな葉っぱを敷き詰めたおかげで、心地よく寝られたからだ。

「うむ。
 体力は万全だ。

 これでいつでも戦える」
と常に戦闘態勢の(かしら)が言い出す。

 いや、誰と……?
と思っているアローナに向かい、頭は言った。

「ありがとう、アローナよ。
 我々が間違っていた。

 我々は文明に溺れ、なんでも買うか奪うかして、調達して済ませていた。

 だが、こうして大自然の中、自らの手で快適な住まいを作り出すこともできるのだな。

 お前を見倣(みなら)い、少し野生に返って、どんな状況でも生きていけるような(たくま)しさを身につけることにするよ」