貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「じゃあもう、お世継ぎは生まれそうですか」

「いや、なんでですか。
 まだなにもしてませんけど」
と素直に答えて、

「いや、なにやってるんですか、あなたはっ」
と怒られる。

「今可愛いと言ったではないですか、ジン様のことをっ」

 いやいやいやっ。
 可愛いとかって、ちょっと好意的に言っただけで、すぐ妊娠しないといけないんですかね? この国はっ、
と思いながら、アローナは、

「だって、まだ式も挙げてませんからっ」
と頑張って主張してみる。

「そりゃ、あなたはジン様の正妃となられるお方ですから。
 簡単に式を()り行うことはできません。

 長い準備期間をかけて、諸外国の者を招き、派手にお披露目をせねば。

 それでなくとも、クーデターで王になってますからな、ジン様は。

 ゆるっと王になってしまったので。

 婚儀くらいは正式なものを堂々とやりたいですから。

 だが、それはそれとして、お世継ぎだけはお早めに」

 いや、そんな返済はお早めにみたいなことを言われても……。

「美女千人は集められませんが。
 私もレオ様ともう少しゆっくり話をしてみたかったので。

 あなたのお供として、レオ様のいらっしゃる離宮を訪ねるのは、やぶさかではありません」