「アハト様」
回廊を歩いていたアハトにアローナが声をかけると、アハトは、
うわ~、めんどくさい奴が来た~というのを隠しもせずに、アローナの方を見た。
「これはこれは麗しいアローナ様。
どうされましたか?」
「アハト様。
美女千人と酒樽千個、用意できますか?」
と訊いたが。
「……できるわけないでしょう。
私にそんな権力があったら、ジン様に取り入るために、砂漠近くの娼館まで、あなたを買いにいったりしません」
と、そりゃあ、ごもっともですね~なことをアハトに言われてしまう。
「ま、ご用意はできませんが。
なにする気なのかは気になりますな。
そんな物騒なもので」
美女千人と酒樽千個の破壊力が物騒だとアハトは言う。



