貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 そう呟いたあとでジンは、
「こんなもの放っておけ」
と言って、その書簡をカラになった焼き菓子の皿の横に投げた。

 そして、気づいたように叫ぶ。

「なくなってるじゃないかっ、菓子っ!」

「あっ。
 すみませんっ」
とアローナは謝った。

 緊迫した空気で書簡を見つめている間、鷹に肩をつつかれるたび、機械的にエンの焼き菓子を与えてしまっていたようなのだ。

「アローナ~ッ。
 鷹~っ」

 迫りくるジンの怨嗟(えんさ)の声にアローナは逃げ腰になりながら。

「あっ、そんなにお気に召してました?
 じゃ、じゃあ、鷹を使いに出して、エンにもう一度焼いてもらいますよ。

 鷹」
と振り向いたが、鷹はお腹が重くて飛ぶ気にならないようだった。

「は、は、早く行ってっ。
 ジン様に焼き鳥にされるからっ」
とアローナは慌てて鷹を追い立てた。

 鷹の焼き鳥が美味いのかは知らないが。