貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「情報戦を制すれば、(いくさ)も回避できるかもしれません。
 平和のためです」

 そうアローナが言い切ったとき、

「健康のためなら死んでもいい人みたいに。
 平和のためなら、なにしてもいい的な匂いのする人ですよね、アローナ様」
と言う声がした。

 振り向くと、シャナが立っていた。

「どうした?
 もう父の後宮を追い出されたのか?」
と言うジンに、

「いえいえ。
 レオ様からジン様にお届け物です」
とシャナは派手に装飾された黒く細長い箱を差し出してくる。

 それを受け取りながら、呆れたようにジンは言った。

「お前、ほんとうに優秀な刺客なのか。
 バレバレじゃないか」

「いやいやいや。
 マヌケな刺客と見せかけて、敵を油断させるんですよ~」
と笑って言うシャナに、

「油断させて、なにするんだ?」
と溜息まじりに言いながら、ジンはその箱を開けていた。

 中には巻物状の書簡が入っているようだった。