貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

 アローナはあの美しい娼館の中に並ぶ、締め切られたそれぞれの部屋を思い出しながら言った。

「身を隠すのにいいから、あの娼館の中、密偵なんかもたくさん来てそうですよね。
 でもまあ、かえって都合いいですかね」
とアローナが言うと、

「都合がいい?」
とジンたちが訊き返してくる。

「エメリア様たちを抱き込んで、さもジン様が素晴らしい王であるかのように、あそこで、みなに吹聴(ふいちょう)してもらうのです」

「……ジン様は、ほんとうに素晴らしい王ですからね」
と言うフェルナンに、わかってますよー、と適当に頷いたあとで、アローナは言った。

「そして、娼館に潜り込んでいるスパイを通じ、新しい王が如何に知略に富み、民の心を掌握しているかを諸国に知らしめるのですっ」

「お前が一番、謀略にまみれている気がしてきたぞ……」
と半眼の目でアローナを見ながら、ジンが言う。