貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「ほう。
 ついに、アローナ様と真の意味でご夫婦に?」

 そうフェルナンは訊いたが、ジンは眉をひそめ、
「……お前、そこで見張ってたんじゃないのか」
と訊き返してくる。

 中の様子を窺っていたのではないのかと言いたいようだ。

「いえいえ。
 私、今日は、王がお逃げにならないよう見張ってただけなんで。
 それでどうだったんです?」

 うむ、と頷いたジンは嬉しそうに言ってきた。

「説得の甲斐(かい)あって、アローナは娼館から送られてきたあの衣装を身につけてくれたのだ」

「ほう、それで首尾良く事が運んだのですか?」

「いや、特に」

「……なんのために着せたのですか、王よ」

 脱がせるために着せたのではなかったのですか、とフェルナンは訊いたが、

「アローナが着たところを見たかったから、着せてみただけだ。
 朝、忙しいのに、なにもできるはずもあるまい」
とジンはしゃあしゃあと言う。

「着せただけで満足なさったということですか?」
(いささ)か呆れてフェルナンが問うと、

「いや、そんなわけないであろう。
 私を甘く見るな」
とジンは反論してきた。

「着せて満足したのではない。
 着て恥じらう姿が可愛かったので満足したのだ」

 そう誇らしげにジンは言ってくる。

 ……なんという阿呆な新婚夫婦だ、とフェルナンは思っていた。