貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「は?」

「いや、なんでもない」
と言いながら、ジンは床に敷いていた飾り布をたたみ直し、椅子にかけ直していた。

 (しつけ)の良い王様だな……。

 王様なんだから、メイドを呼びつけてやらせそうなものなのに、と思いながらアローナは言う。

「それにしても、床でおやすみになられるなんて、お身体壊されますよ。
 一緒に寝台に横になられたらよかったのに」

 すると、ジンは驚いたように身を乗り出し、
「良いのかっ?」
と訊いてくる。

「はあ、良いです」
とアローナは答える。

「私など隅の方にポイと押しやるか、ソファに移動してくださって。
 ジン様が寝台で、おやすみになればよろしかったのに」

 だが、ジンは、
「……いや、お前のいないお前の寝台になんの意味があるのだ」
と言ってきた。

 そのとき、すったもんだ揉めたあと、箱の上に投げていたあのセクシーな衣装がジンの目に入ったようだった。