貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~



 朝起きたアローナは驚いていた。

 ジンが床に転がり、冷たくなっていたからだ。

「刺客っ!?」
と叫んで周囲を見回していると、冷たくなっていたジンが目を開け、しゃべった。

「刺客はお前だ」
と言いながら、起き上がってくる。

「ジン様、どうして、そのようなところに」

「お前は寝てしまうし、フェルナンは此処から出るなと言うし。
 仕方ないので、床で丸まって寝ていたのだ。

 これで俺が凍死したら、刺客はお前とフェルナンだ」

 そう言い、ジンはアローナの額を小突いてくる。

 す、すみません……と苦笑いしながら、アローナが額に手をやると、ジンは嫌そうな顔をして、

「……また拭う気か」
と言ってきた。