貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~

「そうか。
 わかった。

 お前のその適当な忠誠心、一応、心には留めおくが。

 ジンに言われて、のこのこ、こんなところまでジンの愛妻の警護をしてきているようではな」

「……では、アローナ様を此処に置いて帰ったら、わたくしの忠誠心を認めていただけるのですかな」

 置いて帰る気かっ。

「ほう。
 命じればやるか」
とレオは笑ったが、意外にもアハトは、

「……いいえ」
と言った。

「いいえ?」
とレオが訊き返す。

「やはり、それは無理ですね。

 私はジン様に仕えているのではありません。
 アローナ様に仕えているのですから」

 えっ? そうだったのか?
と思ったとき、レオが笑い出した。

「なるほど。
 ジンよりこの娘の方が見所があるというわけだな」

「さようで」

 それは愉快だ、と言ってレオは酒を呑む。

 そこに、他の酒宴から戻ってきた、とびきり上等な娼婦たちが現れたが、
「いや、今日は良い」
と言って、レオは返してしまった。