二本足で立つ謎の黄金色の犬の神とかいる。

 ふかふかの長椅子に腰掛けたアローナは背後に立っている神様のような格好をした犬の像が気になってしょうがなかった。

 ただの装飾品のようなのだが、杖を持っているので、背後から殴りかかってこられそうで、ちょっと怖い。

 つい、何度もそちらを振り返っていると、豪奢な器に入った料理や酒が運ばれてきた。

「遠慮しないで食べなさい。
 代金はアハト様に請求しておくから」
と前に座ったエメリアが言う。

「あ、あの」

「なにかしら」

「お粥食べたいんですけど……」

「……何処かの王宮から連れてこられた料理人が泣くから、それ、食べてあげて」
と言われてしまったが。

 あとで、ちゃんと粥も運んできてくれた。

「なんか落ち着く味です」
とこの間とは違い、立派な食器に入った粥を食べながら言ったが、エメリアは、なんでそっちがいいの、というように小首を傾げていた。