「まあ、どうしたの?
 出戻ったの?」

 とりあえず、娼館の中に入れてもらうと、身体にぴったりと巻きつくような孔雀色のドレスを着た美しきエメリアが現れ、アローナにそう言った。

 ……まだ正式に嫁に行ってもいないのに。

 みんなに返品かい? 出戻ったのかい? と言われて、大層縁起の悪い感じなのですが、と思いながら、アローナは言った。

「いえ、ちょっと気になることがありまして」

 まあそう、と言ったあとでエメリアは、
「あら、しゃべれるようになったのね。
 安い薬を使っていたのかしら。

 まあ、買った相手によっては、すぐ死ぬだろうからいいかと思ったのかしらね」
と人でなしなことを言う。

 まあ、エメリアのこのゾッとするような美貌には、こういう口調がピッタリなのだが。

「誰と話したいの? 私? それとも、アリアナ様?」

 アリアナという可愛らしい名前の娘が何処に居るのかと思ったら、あの老婆だった。