貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~




 アハトに手を取られて馬車を降り、宮殿に入っていくと、白いマントを羽織った金髪の騎士が現れた。

 アローナを見て眉をひそめる。

「アハト様、なんです? その娘は」

「街の外に出かけたら、面白い娘を見つけたので、王に献上しようかと」

 二人のやりとりを聞きながら、面白い娘ってどういう意味でだろうな、とアローナは思っていた。

 おそらく、この国の人間とは違う、変わった毛色の娘という意味だろうが。

 ふうん、と白い肌に金の髪をしたその騎士は上から下までアローナを観察したあとで、
「王はそういう貢ぎ物は受け取らないと思いますよ」
と素っ気なく言った。

「そうは言っても、王はお若いし。
 前王の後宮の女たちはすべてお役御免にしてしまわれて、お寂しいでしょう。

 父君の手のついてなかった幼い娘たちは残しておかれればよかったのに」

 ……前王が亡くなって、息子が王になったのだろうか。

 後宮の女たちはすべて何処かにやってしまったようだが。