貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~



 次の日、今夜はなにをやったら? と思いながら、庭を散策していたアローナはシャナに出くわした。

「暇ですね、アローナ様。
 王でも暗殺してみませんか?」
と淡々と誘われる。

「いや、城で雇ってもらったんじゃなかったんですか?」

「今、厨房で芋をむいていたんですが。
 どうも向いてないようです」

 何故、殺し屋を厨房で雇ったんだ……。

 この城は適材適所とか考えないのだろうかと思ったが、
「刃物を使うのが得意そうだから」
という理由で調理の下ごしらえに回されたようだった。

「手際の良さを褒められてちょっと嬉しかったんですけどね。

 でも面白くないんですよー。
 芋もニンジンも私に()られても、うっ、とも、あっ、とも言わないじゃないですか」

 いやいや、芋やニンジン切るたびに、うっ、とか、あっ、とか言われたら面倒ですよね~と思いながら聞いていたアローナは、

「……王様に言っときますよ。
 違う仕事に回してくれるよう」
とシャナに言う。

 ありがとうございます、とちょっと機嫌の良くなったシャナは礼を言ってきた。