3日経ち、5日経ち、10日が経ったとしても下手になってるようにしか感じない。

ガサツってしょっちゅう言われてた女に日本の趣(おもむき)ある文化は無理だってば……。



「馬鹿じゃないよ…!私だって頑張ってる!!」


「それは知ってる。だが詰めが甘いんだよお前は」



ちゃんと褒めてくれる。
乱暴だけど褒めてくれるのだ、この男は。

教育係に任命された意味がなんとなーく分かってしまう。


すると男はおもむろに立ち上がって私の背後に立つと、ストンと腰を下ろした。



「わっ」



うしろから伸びた手が右手は茶筅を、左手は茶碗を持つ私の掌へそっと重ねられて。

同じように一緒に動いてくれる。



「俺の動きに合わせろ」


「は、はい…」


「あまり力は入れなくていい。身体に軸を作るイメージで、落ち着いて立てる」


「うん…」



だめだ、まったく集中できない。

てか、顔近くない…?

耳元にダイレクトに甘い声が聞こえるんですけど。


そうだこのひと、格好良いんだった。