1度あることは2度ある。
そして2度あることは3度ある。

最終的には3度目の正直、なんて言われるが。


本当にその通りなんだと、小さい頃の俺は思っていた。



「最初の光は、あんただよおやっさん」



最後の日の出を拝んだ俺に、その光は現れたのだ。

「僕は今日殺されるんだ」と泣いていた俺の前に、その光は現れてすくってくれた。



「…2人目は、母さんだ」



日の当たらない部屋に現れた太陽みたいな人だった。

活発で少しお転婆で、だけど俺に初めて優しさをくれた人。


俺が初めて声を上げて泣いたのは、その人の腕の中だった。



「それで最後は───」


「絃だろう」


「…あぁ」



光って掴めるんだよおやっさん。

お日さまのような暖かさなのに、握ったら潰れてしまうほどに脆くて。


その光は俺に命を吹き込んでくれて、毎日を輝かせてくれた。



「俺はおやっさんを殺さない。殺したくない。殺せねえよ…」



あんたがここの天鬼組を、いずれ俺に譲ろうとしてることだって知っている。

だが俺は正直そんなものいらない。



「…それじゃあ俺は一生赦されないままだろう」


「もうとっくにそんなのないんだよ」



恨んでもないんだよ俺は。

最初から、そんなのはないんだ。


だってあんただってそうだろう。



「俺は絃をたくさん傷つけたのに、おやっさんは1度でも俺を恨んだことがあったか」


「…恨めるわけねえだろ、」


「同じだよ、俺だって」